祖先のまつり

 現在では仏式のお葬式がほとんどですが、日本古来(聖徳太子が活躍する頃に入ってきた仏教が我が国に入って来るよりもずっと昔から)の祖霊感に基づく葬儀が「神葬祭」です。

 

 日本人は、亡くなった祖先にも、なにかしら目に見えない優れたお力を発揮される存在として崇めてまいりました。それは産土神と同じように、身近で血のつながった存在であり、嬉しいことも悲しいことも、常に近くで見守って下さる御親(みおや)の神様なのです。仏壇の“ど真ん中”にある「お釈迦様に」(阿弥陀如来?) ではなく、亡くなった身近なお爺ちゃんお婆ちゃんに対して手を合わせている その姿こそ、日本人古来の祖霊感=祖先を大事にしている本質です。 

 

 仏式の葬儀で、僧侶は「お釈迦様(阿弥陀如来)に対してお経を唱えている」のに対して、神式(神葬祭)では「故人の御魂に対して祭詞を奏上している」という、決定的な違いがあります。

 葬儀での「弔辞」での場面を思い出してみて下さい。本来は礼拝対象である「お釈迦様(阿弥陀如来)に対して」であるはずなのに、そっちのけ で 実際は「故人に対して」の「送ることば」になっています。すごく不自然な気がしてなりません。

 代々、仏式でお祀りされているご家庭がほとんどですが、次男・三男の方で仏壇がないご家庭では、神式=神葬祭での葬儀をご希望される方も多くいらっしゃいます。

 

 仏式のように「お布施の金額次第で戒名が異なる」というようなことがないことや、祭詞(祝詞に相当することば)が奏上される際に、故人が生まれてからの生い立ちや人柄・活躍ぶりなどが、参列者にもわかりやすいということで、とても感激されます。また お供え物にも故人が大好きだった 好物(食べ物・飲み物・焼酎のお湯割り・たばこなど)が 事実 お供えされることもあり、故人を大切にお送りする儀式が神葬祭といえます。

 

 

葬場祭 葬儀場にて
葬場祭 葬儀場にて